2019.03.14 Thursday
漢方健康日記 第268回 「更年期後の病気の予防」のお話

実際の放送と内容が異なる場合もございます。
漢方健康日記』更年期後 2019年 3月13日
アナ: 漢方健康日記。このコーナー は漢方を通じて皆様の健康に奉仕する 長崎中医薬研究会が お送りします。普段の食生活や 日頃の生活習慣を見つめなおして、健康的な 暮らしの お手伝いをしようというものです。今日は 長崎市 西山の山中薬局 山中みちよさんにお話しを 伺います。今日はどのような お話しでしょうか?
山中: 今日は、更年期以降に出やすい症状、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症 などから遠ざかるお話をしたいと思います。
アナ: はい〜 そんな病気は 体質とか 老化によるもので 避けられないものと思っていま
したが・・・予防できるのでしょうか?
山中: 中医学の先生のお話しによると「更年期に入る前から 漢方薬で身体を整えておくと
ゆるやかな下り坂で 更年期や老年期を迎えることができますよ」と言っておられます。
アナ: それは うれしいことです。もう少し くわしく聞かせてください。
山中: 閉経とともに、女性ホルモンが急激に減ることが 老化の 大きな原因の一つです。
それまで女性の身体と 健康をささえていた いろんな酵素やヒアルロン酸、
コラーゲンなどの細胞間物質も減って、血管や組織が 固くもろくなってきます。
アナ: 女性は、閉経に伴って、このような状態になるということですが
男性でも同じようなことが おきてくるのでしょうか?
山中: 男性も同様ですが、女性ほど 急ではないようです。
一般的に、男性の更年期障害は、直接の原因は
テストステロンが 加齢に伴って低下すること。その症状は、おおまかにいうと
一つめが 性欲の低下や ED(勃起障害)です。二つめは「精神・心理症状」で、
抑うつ感や、落胆、不安、疲労感、記憶力や集中力の低下など。
三つ目めは身体症状です。女性と同じく 発汗やほてり、睡眠障害、関節・筋肉
関連の症状が 出てきます。
厄介なのは、ある症状が 別の症状を助長したり、根本原因であるテストステロンの
低下を進行させることです。
始まって 緩やかに 低下が続くので 症状の現れ方も緩やかですが、60代、70代前半になると定年など環境の変化も影響するのでしょうか、不眠やイライラや 鬱症など
精神的な症状を伴う方もいらっしゃいます。また、テストステロンの低下が、抑うつ感
につながる一方、抑うつ状態にあると テストステロンが低下します。
アナ: すると ホルモンの低下は 女性の方が急なのですね。漢方ではどう考えるのでしょ
うか?
山中: 中医学の考え方では、老化のスピードは 男性は8の倍数で節目 ふしめを迎えます。8の7倍で 56歳、 8の8倍で64歳、 など。
女性は7の倍数で節目ふしめ を迎えます。7の7倍で閉経 など。
というように 男性より 少しサイクルが早めです。
また中医学では 老化は「腎」と深く関わっているとみています。ここでいう 腎には
生命を維持していく機能があり、成長、発育、生殖、老化に深く関わっていると考えま
す。 また、骨、骨髄、脳も腎が主り、この 腎が 弱くなっている状態を「腎虚」と
いいます。つまり 老化=腎虚 です。
アナ: 先ほどの腎虚の症状を できるだけ 先送りにするのに 何か方法があります
でしょうか?
山中: まず、「バランスのよい食生活と 規則正しい生活を送ること」。
また ホルモンが分泌される所である、脳、副腎などは ストレスに左右されやすい所
です。 ストレスとの上手な お付き合いも大切です。
アナ: どんな 漢方薬がいいのでしょう?
山中: 骨の場合には、骨を形成するのに、女性ホルモン以外に、甲状腺、副甲状腺、腎臓など
が深く関わっています。漢方では 肝と腎と考えます。骨粗鬆症の予防、治療には
肝と腎を強くする逍遥顆粒などと、杞菊地黄丸,参馬補腎丸などの、体質にあった腎を
補う補腎薬を 選びます
また 高脂血症の場合には、不要な水分と老廃物がたまらないように
冠元顆粒、温胆湯、晶三仙、三爽茶などがいいでしょう。
高血圧の場合には、体質にあった漢方薬と 冠元顆粒を合わせます。
そして根本に腎虚がありますので「精」とか「血」を補うことも大切です。精を補うの
に 忘れてならないのは 亀鹿仙でしょう。不老長寿薬として 昔からあがめられて
きました。
更年期は 人生の曲がり角ととらえ、老年期を新しい人生の始まりとして前向きに先手
先手で いきたいものです。
アナ: 漢方で更年期を上手に乗り越えるだけでなく、老年期も前向きに迎えられる希望が
わいてきました。
有難うございました。次回は、3月27日水曜日 担当は長崎市 小ヶ倉町
小ヶ倉薬品 円入 としのりさんです。
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詳しくは、長崎中医薬研究会のホームページをご覧下さい。
このコーナーは 長崎中医薬研究会がお送りしました。